PARANOID ANDROID

140文字以上の主に本についてのつぶやき

「鬱の本』点滅社

先程この本を読み終わりました。

鬱のときに読んだ本。憂鬱になると思い出す本。まるで鬱のような本。
84名の方による、「鬱」と「本」をめぐるエッセイ集。本が読めないときに。
(夏葉社さまの『冬の本』にインスパイアされてつくった作品です)

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まえがき

この本は、「毎日を憂鬱に生きている人に寄り添いたい」という気持ちからつくりました。どこからめくってもよくて、一編が1000文字程度、さらにテーマが「鬱」ならば、読んでいる数分の間だけでも、ほんのちょっと心が落ち着く本になるのではいかと思いました。
病気のうつに限らず、日常にある憂鬱、思春期の頃の鬱屈など、様々な「鬱」のかたちを84名の方に取り上げてもらっています。
「鬱」と「本」をくっつけたのは、本の力を信じているからです。1冊の本として『鬱の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「鬱の本」を知るきっかけになれば、生きることが少し楽になるかもしれないという思いがあります。
この本が、あなたにとっての小さなお守りになれば、こんなにうれしいことはありません。あなたの生活がうまくいきますように。

※本書は、うつや、うつのような症状の方のためのマニュアル本や啓発本ではありません。そのため、例えば「うつ病の具体的な治療方法」などは書かれておりません。ご了承ください。

84名の方が書いてるからかもしれないが、こころに留まる言葉が多い。
また、1人1冊本を上げてくれているのも嬉しい。

我慢することが美徳とか教わった世代だけど、悲しいとか怒りとかはもっと表に出していいのかな?と思った。

シオランの著作を挙げている人が3人もいた。

読書ノートより一部抜粋。
引用します。

皆変わり者ではみ出し者だが、別に誰も困らないし排除するされることもない。無条件にそこにいて良く、自分じゃない別の誰かになる必要なんてない世界。〜17ページ

共感は心を軽くするのだ。〜21ページ

欲望と現実の折り合いを付けることは必要ですが、欲望を持ってること自体を否定するとこじらせますよ。〜25ページ

正しく諦める。それが生活することなのかもしれない。助けてとか怒りの言葉のかわりに、わたしたちは文を書くことができる。先が見えないときこそ自由に書いてもいいし、背筋を伸ばさなくていい場を持っていい。〜43ページ

無駄な時間だけが休息になる。〜51ページ

いろんな人がいるなぁと思う。いろんなかたちの不器用な人がいていいのだと気付く。〜57ページ

基本的に元気がないので、稀にお出かけできると嬉しくなり、記念品のように本を買って帰ります。帰って本を積んで、ひとまずよしとします。そしてそのまま読めないのです。読みたいはずなのに、手に取ることすら重荷で、積読タワーをぼんやり眺めて日々が過ぎます。それがもう二十年は続いています。〜58ページ

↑これわたしだ。

ひとりになりたいと思いながらも、ひとりぼっちは嫌だとスネる。〜73ページ

本棚は、歩んできた人生そのものだと思う。〜87ページ

↑そうそう、そうなの。

「『イザとなったら死んじゃえばいい』っていう選択肢」によって、生きる縁が与えられたわけである。〜173ページ

夏葉社さんの『冬の本』にインスパイアされたこの『鬱の本』も今この寒い冬に読むのにぴったりの本だと思いました。

この本の中で挙げられていた本を数冊先程注文したところです。
こうやって本と本の縁はつながっていくのね。