PARANOID ANDROID

140文字以上の主に本についてのつぶやき

『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら 15冊から読み解く家事労働と資本主義の過去・現在・未来』チョン・アウン

先程この本を読み終わりました

「主婦は家でぐうたら」している?

 

日本よりも家父長制が根強く、日本と同様に共働き世帯が急増する韓国で、
社会から卑下されマイノリティになりつつあるひとりの主婦が、
日本でも翻訳されている話題の書を含む15冊を読み解き、
こんな言葉を生む社会の仕組みの始まりをたどる旅へ──

 

「夫が妻を扶養しているのではなく、妻が、
夫を働きに出られるように扶養しているのだ。」

 

女性、男性、非婚女性、すべての人類のこれからを考えるための教養エッセイ!

今年読んだ本の中で暫定1位。
再読不可避。
初読時(今回)は「なるほど!」と思いながら、でもメモを取らずに読んでしまったので、今度はきちんとメモを取り書き出し、考えをまとめつつ自分の血肉となるよう読まねば。

この本にはわたしが思っていた疑問、モヤモヤに対する答えが書かれていた。
目が開かれ、啓蒙された。
また、邦訳されていない本のなんたる多さよ…。

あとわたしだったら帯に本文から引用する文章にはこれを選ばないな。
誤解されると思う、色々と。

取り急ぎここだけメモしたので長いですが引用します。

資本主義が設定した性別分業によって分断されたのは男女だけではない。女は必ず結婚して子どもを産まなければならず、家事と育児は女にできる最高の仕事だという定言的命令は、それを受け入れた女性とそうでない女性のあいだも引き裂く。お金に換算できることにだけ価値を見出す資本主義的な考え方に閉じ込められている限り、非婚女性は家で家事と育児を受けもつ既婚女性を「依存的でもどかしい生き方をしている」と考え、既婚女性は非婚女性を「わがままで自分の事しか考えていない」とさげすむことになる。体制維持のために社会は単一の女性像ーー結婚して子どもを産んで育てるーーを強調し続け、その過程でその女性像に符合する人とそうでない人が自分の立場を擁護し、結果的に互いに非難し合うようになる。しかし、もう少しだけ深く考えてみれば、少しだけ視野を広げてみれば、女性は自分が立っている場所の地形全体をながめることができる。そして今、つねに自分を省み、たゆまず前進していく女性は、既婚・非婚どちらの側にいようと、自分が立っていない側の価値に気づき、評価する目をもてるようになる。〜215〜216ページ