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140文字以上の主に本についてのつぶやき

『毛布 あなたをくるんでくれるもの』安達茉莉子

読書スランプから復帰の1冊目(本当は1冊目は絵本を読んだのだけど)に選んだのがこちらの本でした。

安達茉莉子さんの『毛布 あなたをくるんでくれるもの』

これまで言葉と絵で「物語」を表現してきた作家、安達茉莉子の初エッセイ集。日々の出来事や感情を丁寧に瑞々しく掬い上げた文章と、心に明かりを灯すようなイラストレーションで確実にファンを増やし続けてきた彼女が満を持して送り出す本書はきっと多くの人に自分自身を真っ直ぐに見つめるきっかけを生み出す、毛布のようにあたたかな1冊です。

作家や芸術家というのは、例えれば『鶴の恩返し』のように、自分の羽根を痛みを感じながら自ら抜き取り、それと引き換えに布を織る作業をする人たちのことだと思うのだけど、この作者には特にそれを感じます。

作者の経歴が異色で、防衛省に勤務していたけれど、疲弊して退職し、イギリスの大学院へ学びに行ったり、限界集落の築250年の古民家の管理人をしていたことがあったりと、現在は詩や絵や文章を書いている文筆家さんです。

今までに2冊、彼女の本を読んでいて、

『臆病者の自転車生活』

「どうせ無理」なんてもう言わない。

読めばじんわりと温もりが広がり、元気がどんどん湧いてくる、
ZINEで大人気の作家が贈る自転車エッセイ集。

ふとしたきっかけで乗った自転車が、生活を、心を、大きく変えた。

心に怯えた犬を抱えて生きている著者が、電動アシスト自転車と出会って、小さな冒険を重ねていく。

横浜の街へ、鎌倉へ。 そしてロードバイクを手に入れて、真鶴へ、ついには海を越えて北海道へ。

──自分の「できない」を乗り越えた女性の、勇気の物語。

『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE 』

これは、ひとりよがりの贅沢ではない。--ひとの日常、ひとの営みが軽視される日々にあらがう、意地なのだ。

日常において、とても些細なことだけれど、気にかかっていること。タオルやシーツ、ゴミ箱、セーター、靴、本棚……。これでいいやで選んできたもの、でも本当は好きじゃないもの。それらが実は、「私」をないがしろにしてきた。淀んだ水路の小石を拾うように、幸せに生活していくための具体的な行動をとっていく。やがて、澄んだ水が田に満ちていく。――ひとりよがりの贅沢ではない。それは、ひとの日常、ひとの営みが軽視される日々にあらがう、意地なのだ。それが“私”の「生活改善運動」である。

手づくりのZINEとしては異例のシリーズ累計五千部を記録した大人気エッセイ『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』を、5万字の書下ろしとともに再構成。待望の単行本化!

2冊とも心のひだに寄り添ってくれるようでとてもよかったのでこの本も読んでみましたが、率直で正直でとてもよかったです。

たとえばこの国の社会が求める生産性の中で違和感を感じたりこぼれ落ちそうになっている人や自分で自分自身を大事にしてないなぁと思っている人が読んだら刺さると思います。

わたしにはとても刺さりました。