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140文字以上の主に本についてのつぶやき

『The Young Women's Handbook〜女の子どう生きる?』山内マリコ

山内マリコさんの『The Young Women's Handbook〜女の子どう生きる?』を読みました。

雑誌に連載された若い女性(あとがきに25歳の女の子という仮想読者、とありました)に向けて書かれた本ですが、色々な年代の女性に対する応援歌みたいな本です。
メモしながら読んでいたので、長くなりますが引用します。

モノについて書かれたChapterより、

それに20代のころはわたし自身、買い物でしか自己表現できない状況でした。自分を発揮する場がないと、女性は買い物での自己実現に走ってしまう。自分というものがないから、とりあえず自分の「選んだもの」で手を打つ。

(略)

偏愛は主語の「わたし」が好き勝手に理屈抜きで、なにかを熱烈に愛している。とても主体的で、強くて、フリーダムなかんじ。

自分の好きなもの、夢中になれるものを、全員が見つけられるわけじゃない。けど、なにかを好きなこと自体が、自分の芯になりうる。なにかを好きになることで、人は「主体」になれるんです。

これはとても大事なことです。なぜなら主体であることに慣れておかないと、自分ってすぐになくなっちゃうから。「わたしってなに?」と考えると、哲学の迷宮に入ってしまうけれど、「わたしの好きなものってなに?」と考えると、おのずと自分が見えてきます。

好きなもので身の回りを固めるようになりました。自身が持てなくてあやふやな自分を補強するように、好きなもので鎧を作って、自分を守っていたんだと思います。

(略)

だから、偏愛、どんどんしてください!大好きなものを買い集めて、ほくほくしてください!どんなくだらないものでも、意味のわからないこだわりでも、それらはみんな、お守りみたいに、あなたの心を強くしてくれるはずですから。

他にも女性の生き方については、

かつて女性は、家庭の中で、妻や母としてしか生きられない脆弱な存在でした。

(略)

女性は年齢を重ねるにしたがってーとくに結婚や出産などを経るにしたがってー自分よりも他者のために生きがちだから。世間は一定の年齢以上の女性に、主人公として生きるより、家族を支えるサポート役にまわることを求めがちです。そして女性ものをまた、そこに生きがいを見出しがち。もちろん、それは悪いことではない。長い間、一種の美徳とされてきました。でもそれって、女性が自分の人生の主役から降りて、脇役になることを強要してもいる。

(略)

「幸福な結婚とはいつでも離婚できる状態ですありながら、離婚したくない状態からである」という、小説家・大庭みな子の名言があります。女性が結婚のダークサイドから身を守るには、本当の意味で幸せな結婚をするには、まずは自分で自分の小舟をしっかり漕げるようになること、それを経験することが大事。

等々を経て、

自分を知ること、自分の好きなものを知ること、そして自分に似合うものを知ること。でもそんなこと、なーんにも気にしていないかのように、さり気なくふるまうこと。あとは完璧を目指さず、自分のことを「ま、こんなもんでしょう」と大目に見てやれる、心の広さも大事かな。

こういう境地に至る大切さみたいなことが書かれていました。

良い本でした。
承認欲求との付き合い方みたいなChapterもありました。

添えられているイラストがとても素敵で奥付を見たら、お名前をkinucottさんとおっしゃるそうです。
検索してみたらサイトは持ってらっしゃらないみたいでした(残念!)。