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140文字以上の主に本についてのつぶやき

『ヒロインズ 』ケイト・ザンブレロ : ブックリスト

ケイト・ザンブレロ『ヒロインズ 』で、取り上げられている本の中から読みたいと思った本と参考文献及び関連本一覧です。

 

この本の紹介記事はこちら。

moyoco.hatenablog.com

例によって自分の備忘録的なもの。
署名の前の★印は持っている、もしくは既読本です。
邦訳が出ていないものは洋書の書影です。
書影のないものは書名と作者名のみです。

 

未訳『アリス イン ベッド』スーザン・ソンタグ

戯曲。小説家ヘンリー・ジェイムスと哲学者ウィリアム・ジェイムスの妹アリスもまた才能溢れる人物だったが、若くして精神を病み、その後は長らく病床にあった。戯曲はアリスの日記をもとにした彼女の人生の断片らしきアリスもまた才能溢れる人物だったが、若くして精神を病み、その後は長らく病床にあった。戯曲はアリスの日記をもとにした彼女の人生の断片らしき場面と、さまざまな女性、アリスの母、詩人エミリー・ディキンソン、女性活動家マーガレット・フラー、オペラ『パルジファル』の魔女クンドリ、バレエ『ジゼル』の精霊の女王ミルタらが登場する空想的な「ティーパーティー」の場面によって構成されている。

 

『ベル・ジャー』シルヴィア・プラス

あの夏、ニューヨークはおしゃれで、華やかに輝いていた。でも、19歳の私はガラスの覆いに閉じこめられ、心は不思議に虚ろだった。30歳で自ら死を選んだ詩人シルヴィア・プラスの自伝的小説。

 

『自分ひとりの部屋』ヴァージニア・ウルフ

「もし、シェイクスピアに妹がいたなら」“女性と小説”というテーマで講演を頼まれた語り手は、有名な兄のように、支援者も、模範とすべき先達も、お金も時間も、ひとりになれる部屋もないなか、ものを書こうとしてきた女性たちに思いをはせる―イギリスで男女平等の参政権が認められた一九二八年、ケンブリッジ大学の若き女子学生たちに向けた講演をもとに、物語の形をとりながら、女性の文学の歴史と未来への期待を見事に紡ぎ出したフェミニズム批評の古典。

 

ボヴァリー夫人フローベール

娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに日本語に再現した決定版新訳。

 

ゼルダフィッツジェラルド全作品』

ゼルダフィッツジェラルドの作品が、全集という形で出版されたことに最大の意義がある。有名すぎる夫スコットのスキャンダラスな参考資料としてではなく、ひとりの女性作家として読まれ論じられる契機となり得るからだ。

  軽快でウィットに富んだ戯曲「スキャンダラブラ」や女性らしいセンスが光るエッセイの数々。そして圧巻は唯一の長編小説「ワルツはわたしと」だ。
「女たちには、みな、迫害という静かで変更のきかないドグマがついてまわっていて、もっとも洗練された者でさえ、言葉にならない百姓のつらさを味わわされる」
 
父親の庇護のもとに育てられ、年ごろになれば結婚し夫に守られて生きるしかない女。そして、擦り切れた結婚生活の果ての父の死。ひとりで生きなければならないとバレエダンサーを目指し、苦闘の末挫折する主人公アラバマの悩みは、現代の女性たちの生き方ともどこか重なる。

しかし、ゼルダはただ「抑圧された女」であったわけではないと序文で娘スコッティが証言している。確かにゼルダの描く愛には男たちへの恨みや憎悪を抱えたルサンチマンの香りはしない。全集の最後に置かれるスコットに宛てたゼルダの手紙では、ひたむきに夫スコットへの愛が語りかけられていて涙を誘う。

「幸せに、幸せに暮らしましたとさ―― そういうのがいい」

永遠の少女の夢はゼルダの作品の中で踊り続ける。

 

夜はやさしスコット・フィッツジェラルド

失意と苦悩のなかで書き継がれたフィッツジェラルドの最後の長篇!:森慎一郎編訳「小説『夜はやさし』の舞台裏―作者とその周辺の人々の書簡より」小説の執筆が始まった1925年から作者が没する1940年までの『夜はやさし』に関わる書簡を抜粋・選録。

 

『美しく呪われし者』スコット・フィッツジェラルド

デビュー作『楽園のこちら側』と永遠の名作『グレート・ギャツビー』の間に書かれた長編第二作。刹那的に生きる「失われた世代」の若者たちを絢爛たる文体で描き、栄光のさなかにありながら自らの転落を予期したかのような恐るべき傑作、本邦初訳!

 

『荒地』TS・エリオット

モダニズム詩の金字塔『荒地』の最新訳。長年のエリオット研究で各国語のテクストを読み込んできた著者による精緻かつ清新な訳文は、難解とされる同作の初読者をもエリオット詩の世界観、魅力に浸らせる。一方、付録の解説、訳注、テクストの問題では、作品中における一定のモチーフ群の流用やさまざまな仕掛け、エズラ・パウンドの編集等制作過程の問題に周到に切り込み、歴代の翻訳版に一石を投じる内容となっている。 ――『荒地』はつぎはぎのコラージュのような、あるいは映画の予告編のような作品である。一見とりとめのない断片の羅列に見えるかもしれない。しかし実際は一定のモチーフが表現を変えながら繰り返し現れ、作品としてのまとまりを作っている。ここでは主なモチーフを《心が通わない男女》《大戦と帝国》《死と再生》の三つのグループに分けて解説する。

 

『化粧した影: T.S.エリオットの最初の妻 ヴィヴィアンヌ・エリオットの生涯』キャロル・シーモア=ジョーンズ

最近のエリオット研究は、彼の個人的伝記的な面に関心が高まっている。
エリオットの「影」であり続けた最初の妻ヴィヴィアンヌの伝記に見られる日記、ノート、書簡などを通して、学究肌で敬虔な宗教生活を送ったと言われる彼の知られざる世界に踏み込み、「伝記と作品」の関係に一石を投じた問題作の全訳。

 

『サルガッソーの広い海』ジーン・リース灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1所収)

灯台を望む小島の別荘を舞台に、哲学者の一家とその客人たちの内面のドラマを、詩情豊かな旋律で描き出す。精神を病みながらも、幼い夏の日々の記憶、なつかしい父母にひととき思いを寄せて書き上げた、このうえなく美しい傑作。新訳決定版(『灯台へ』)。奴隷制廃止後の英領ジャマイカ。土地の黒人たちから「白いゴキブリ」と蔑まれるアントワネットは、イギリスから来た若者と結婚する。しかし、異なる文化に心を引き裂かれ、やがて精神の安定を失っていく。植民地に生きる人間の生の葛藤を浮き彫りにした愛と狂気の物語(『サルガッソーの広い海』)。

 

『屋根裏の狂気ジーン・リース』キャロル・アンジア

 

ジェイン・エアシャーロット・ブロンテ

  

幼くして両親を亡くしたジェイン・エアは、引き取られた伯母の家で疎まれ、寄宿学校に預けられる。そこで心を通わせられる人々と出会ったジェインは、8年間を過ごした後、自立を決意。家庭教師として出向いた館で主のロチェスターと出会うのだった。ジェインの運命の扉が開かれた。

少女・アデルの家庭教師として生活するうちに、ジェインとロチェスターは、お互いの中にある情熱、優しさ、聡明さに気づき惹かれ合う。愛を深めていく二人。だが、運命は過酷な試練をジェインに用意していた。苦悩の果て、二人に訪れた結末は。究極の愛は結実するのか。

 

インセスト アナイス・ニンの愛の日記 【無削除版】1932~1934アナイス・ニン

アナイス・ニンが生涯をとおして書き続けた日記。無削除版第2巻、待望の翻訳出版。夫、ミラー、アランディ、アルトー、ランクそして父との“愛”。他者との関係のなかで、複雑に屈折する自己の内面を深く見すえた膨大な記録。

 

『北回帰線』ヘンリー・ミラー

“ぼくは諸君のために歌おうとしている。すこしは調子がはずれるかもしれないが、とにかく歌うつもりだ。諸君が泣きごとを言っているひまに、ぼくは歌う。諸君のきたならしい死骸の上で踊ってやる”その激越な性描写ゆえに長く発禁を免れなかった本書は、衰弱し活力を失った現代人に最後の戦慄を与え、輝かしい生命を吹きこむ。放浪のパリ時代の体験を奔放に綴った記念すべき処女作。

 

『黄色い壁紙』シャーロット・パーキンス・ギルマン(病短編小説集所収)

文学作品はこれまで病をどう語ってきたか。病は文学によってどのように意味づけされてきたのか。消耗病・結核ハンセン病、梅毒、神経衰弱、不眠、鬱、癌、心臓病、皮膚病―コナン・ドイルフィッツジェラルド、レッシングら名だたる作家によって書かれた9つの病を主題とする14編。最も個人的な出来事の向こうに、時代が社会が、文化が立ち現れる。

 

『マリーナ』インゲボルグ・バッハマン

 

『ある作家の日記』ヴァージニア・ウルフ

いま読んでいる本、創作過程の実際、本の評判や売上げ、エリオットやフォースターとの交友など、191836歳の年から1941年自殺する直前までの日記。

 

『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ

6月のある朝、ダロウェイ夫人はその夜のパーティのために花を買いに出かける。陽光降り注ぐロンドンの町を歩くとき、そして突然訪ねてきた昔の恋人と話すとき、思いは現在と過去を行き来する。生の喜びとそれを見つめる主人公の意識が瑞々しい言葉となって流れる画期的新訳。

 

『あなたは誰?』アンナ・カヴァン

「あなたは誰?」と、無数の鳥が啼く―望まない結婚をした娘が、「白人の墓場」で見た熱帯の幻と憂鬱。自伝的小説、本邦初訳。

 

★『アサイラム・ピース』アンナ・カヴァン

城の地下牢に囚われた女、名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵、いつ終わるとも知れぬ裁判、頭の中の機械、精神療養所のテラスで人形劇じみた場面を演じる人々。自身の入院体験にもとづく表題作をはじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた世界を先鋭的なスタイルで描き、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げた最初の傑作。

 

『氷』アンナ・カヴァン

異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って某国に潜入した私は、要塞のような“高い館”で絶対的な力を振るう長官と対峙するが。迫り来る氷の壁、地上に蔓延する略奪と殺戮。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで、世界中に冷たい熱狂を引き起こした伝説的名作。

 

第二の性シモーヌ・ド・ボーヴォワール

神話、文学、生物学、精神分析など、男に支配されてきた女の歴史を紐解きながら、その自由な可能性を提示する画期的名著。

 

『ふたりの真面目な女性』ジェイン・ボウルズ

邪まな求道者のような熱情をもって自らを忌避すべき状況に追いこんでいく奇異な女性ゲーリングパナマに住む美少女パシフィカに魅惑され夫と離れ彼女を追い求めるコパーフィールド夫人。一瞬ごとに想像のつかない展開に、それでいてリアルな、真に恐るべき小説。

 

『伝説のジェイン・ボウルズ』ミリセント・ディロン

ポール・ボウルズの創作の源泉であり、多くの芸術家を魅了してやまなかった伝説の作家―。アメリカ文学永遠の魅惑的異才伝説の生涯と作品。

 

シェルタリング・スカイポール・ボウルズ

一緒に暮すことに限界を感じ、また人生の生甲斐をも見出せないポートとキットは、故国アメリカを捨て、本来の姿を取り戻そうという希望を抱いて、北アフリカへ旅立つ。夫婦と同行者タナーを待ち受ける時のない世界、サハラの砂漠は、彼らをそれぞれの苛酷な運命へと導いてゆく。圧倒的な自然の前に、脆くも崩壊する現代文明への鋭い批判に満ちた、戦後アメリカ文学の代表作。

 

『心を病む女たちー狂気と英国文化』エレイン・ショーウォーター

本書は、フェミニズムの立場から書かれた、1830年から1980年に至るまでの150年間にわたる英国文化と精神医学の歴史である。

 

『ナジャ』アンドレ・ブルトン

パリの町で出会った妖精のような若い女・ナジャ―彼女とともにすごす驚異の日々のドキュメントが、「真の人生」のありかを垣間見せる。「私は誰か?」の問いにはじまる本書は、シュルレアリスムの生んだ最も重要な、最も美しい作品である。1963年の「著者による全面改訂版」にもとづき、綿密な注解を加えた新訳・決定版。

 

『空の青み』ジョルジュ・バタイユ

20世紀最大の思想家の一人であるバタイユが、死とエロスの極点を描いた1935年の小説。ロンドンやパリ、そして動乱のバルセローナを舞台に、謎めく女たちとの異常な愛の交錯を描く傑作。

 

『ある少女の物語ー悲しい特権とおとぎ話の人生』コレット・ペニョバタイユの黒い天使 ロール遺稿集所収)

 

『暗い春』ウニカ・チュルンジャスミンおとこ―分裂病女性の体験の記録』所収)

著者は生涯の最後の8年の間精神病院に何回か入院させられた。その病中の印象を回復後に記録したもの。幼時の夢のあとに現われた幻影のジャスミンおとこを愛の象徴として彼女自身の病誌を綴る。

 

『ルチア・ジョイスを求めて~ジョイス文学の背景』宮田恭子

「ルチアのことが気になるのは、俗に〈紙一重〉と言われる天才と狂気の、一方の天才ジョイスの陰にあって重い心の病気を病んだ娘への同情とも憐憫ともつかぬ感情が久しくあるからである。しかしそれだけではない。この天才と狂気のはざまからジョイス作品の性格が見え、娘が病んだ統合失調症という病気の視点から、時代の相が見えてくることがあるからである。ルチアの人間像が父親の人生のみならずその芸術を照らし、現代文明の側面に改めて目を向けさせることがありうるからである」
マリー・ローランサンによる幻の〈ルチア像〉を求めて、アメリカ・バッファロー大学の「ジョイス・コレクション」を訪ねるところからこの探索行は始まる。まずはルチアの、マーガレット・モリス校でのバレエの修業と挫折、ベケットとの一方的な恋、そして精神的な病いへ。音楽と絵画、バレエ・リュスとの関わりを経て、父親は最後にルチアに装飾文字の創造を勧める。ここから、ジョイスがいつも持っていたという『ケルズの書』を中心に、父と娘の愛と相克の物語が展開してゆく。ルチアの装飾文字とジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』のテーマが深いところで通底するという考察はじつにスリリングである。やがて繊細・華麗な装飾文字の創造に至るルチアの生涯を辿りつつ、広く現代文学=美術の問題を多面的に探究している。

 

『目覚め』ケイト・ショパン

アメリフェミニズムの先駆的名作。旧社会の家族や性の伝統から女性の解放を描く、アメリカ文学史上に輝く珠玉名品集。

 

ここにご紹介した32冊中13冊しか読んだことない事が判明しました💦
生きてるうちに全部読めるかしら…(ほら積読本とかまだまだあるし)。

さーて、明日も本を読もうっと。