PARANOID ANDROID

140文字以上の主に本についてのつぶやき

『遠の眠りの』谷崎由依

谷崎由依『遠の眠りの』を読了。

帯文を読んだ時はLGBTQの問題提起かと思ったが、この小説はストーリーをただ追うだけではなく、格差、貧困、女性の自立、労働、戦争、難民等など今の令和の時代にも通じる問題提起がなされていると感じ、考えながら読んだ。
だが、それらを通過する主人公絵子はどのイデオロギーにも染まらず、かといって俯瞰して見ているわけでもなく、この時代(大正末〜昭和20年)の少しばかり進歩的な思想に触れた一般人の立場を崩さない。
それがわたしには歯がゆかった。
この小説で青鞜に参加していた上野葉子を知ることができた。

上野葉子について調べたものはまた後日まとめたいと思う。