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140文字以上の主に本についてのつぶやき

『深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集』川上未映子

今はこの本を読んでいます。

川上未映子、12年間の軌跡。
雑誌Hanakoの連載エッセイ「りぼんにお願い」が書籍化!

どれだけ時間が過ぎても言葉にできないことが
それぞれの胸にあるのだと思う               ――川上未映子

2011年から2022年。小説『すべて真夜中の恋人たち』、『夏物語』、『黄色い家』を世に出し、さらには出産、育児、プロモーションやシンポジウムなど海外への渡航…。目まぐるしい変化の中で川上未映子さんは毎月、雑誌Hanakoでのエッセイ連載「りぼんにお願い」でそのときどきの喜びや悲しみ、悩み、読者へのエールを綴ってきました。「Hanako読者のことを想像しながら文章を書くことは、いつも、すごく楽しかった(中略)心と体も、移動するような気持ちになれた、暖かそうな、光がたまってる方面に」(あとがきより)。

メイクやファッションの悩みから、季節の移り変わり、社会の中での女性の変化について、ときにユーモラスに、ときに勇敢に、ときに暖かく、読者へと語りかけるように書かれたエッセイには、小説作品とはまた違った、著者自身の思いや12年間の変化が綴られています。

[コンテンツ紹介]

● 連載245回の中から厳選した、80のエッセイを収録。
● 新規書き下ろしとして、2011年から2022年まで、1年ごとの「当時の自分と社会」についての振り返りエッセイ

 10月11日に本を読んでいて、ブログにも引用しましたが、

moyoco.hatenablog.com

下記の文章を読んで、目にして、咀嚼して、 

人生って、公平なんだか、不公平なんだかわからない。どんなに努力して一生懸命生きても、理由もなく突然取り上げられてしまう。怠けていても、ぼんやりしていても、一ミリづつしか進まなくても、全力疾走していても、その先にあるのは、おんなじ死という水平線。〜『夕立ち』より 167ページ 

変にシンクロというか波長があってしまい、 

「何やってもいっしょ、どーせ死ぬのに」

という厨二的考えに囚われてしまって5日経っていて、日々猛烈な虚無感に襲われているのだよね。
これは相当ツライ状況ですよ。

で、今読んでいるこの本にたまたまだと思うのだけど、そのアンサー的な文章があって、

「気をつけてもつけなくても、やがて確実にこの生を捉えてしまう本気の死」について(略)〜179ページ

あの世とか輪廻とか信じてないし、みんな死んで確実にすべてが終わるときが来るのでべつに大丈夫なわけないんだろうけれど、息子といると、コレがなんか、どーんとした気持ちになるんである。有限にたいする解像度が低くなるというか。〜180ページ 

わたしは子どもを持ったことのない人生なので、そのどーんというおそらく母性本能からくると思われるものがないのだけど、そんなものなのかな?とこの文章と出逢って思えるようになってきたよ。 

この感じ、なんだろう。いずれ死ぬのに生まれてきたというこの「強制参加」の理不尽さに、わたしは物心ついたときから怯えてきた。決して解決しないその負の遺産めいたものを自分が子どもを産むことで無理やり譲渡というか先送りにしたことで、ある種の鈍さというか肯定感を得たのかもしれないけれど(ここ強調わたし)、いずれにしても利己的、まことに勝手なことである。〜180ページ 

読書は不思議だし、答えをくれますね。