アンナ・カヴァン『あなたは誰?』読み終わる。
「あなたは誰?」と、無数の鳥が啼く―
望まない結婚をした娘が、「白人の墓場」で見た熱帯の幻と憂鬱。
カヴァンの自伝的小説、待望の本邦初訳作品が登場!
今までに読んだアンナ・カヴァンの本の中で一番好みだと思ったわたしは異端でしょうか??
(全著作は読んでいなくて、読んだのは、『氷』、『ジュリアとバズーカ』、『アサイラム・ピース』の3作ですね。)
この本もどうしようもない不安感と閉塞感、悪夢の迷宮にずっと囚われているような、それでいて皮膚から汗がじんわり滲み出てしまうような不快感も変わらずにあり、おまけに舞台が人を狂わせようと啼く鳥たちに囲まれた熱帯の一軒家。
モラハラDV男の描写は吐き気がするほどだけれど、「娘」の現実への対処の仕方、また「現実」とは星の数だけあるし、寺山修司が「実際に起こらなかったことも歴史」と言ってるけれど、ある文学的仕掛けが施してあり…。ネタバレになるから書かないけれど。
アンナ・カヴァンの小説はストーリーを追って楽しむ類いの本ではないのだけれど、この本は視覚的・映像的で文字を目で追うと頭に映像が浮かぶという体験を久しぶりにしました。もしかして映画化とかされてるのかな?
アンナ・カヴァン(Anna Kavan、1901年4月10日 - 1968年12月5日)はイギリスの小説家、画家。カフカの強い影響を受け、SFにも幻想文学にも分類できるような、特異な物語世界を築いたことで知られる。その作品はオールディスやバラードをはじめ、多くの作家に絶賛された。
〜Wikipedia