PARANOID ANDROID

140文字以上の主に本についてのつぶやき

『匿名作家は二人もいらない』アレキサンドラ・アンドリューズ

今日は今読んでいるこの本について書きたいと思います。

作家になることを夢見るフローレンス・ダロウはある日、匿名のベストセラー作家、モード・ディクソンのアシスタントとして雇われる。最初はまじめに仕事をしていた彼女だったが、次第にモードの原稿へ自分の文章を入れ込み、共同執筆者じみたことに快感を覚えるようになる。そしてとある事故がきっかけとなり、作家になりたいというフローレンスの野心が爆発し……予想できないどんでん返しの連続に驚愕必至のサスペンス

あと1/3残すくらいまで読み進みました。
ネタバレしません。

30章(297〜302ページ)のところ、そうなることはプロローグを読んだときにそうなのかなぁってぼんやり思ってた。
だから「うわぁやっぱりか…」って思った。
ここまでが全部伏線なのかな?って。

読みながらピピっ!ときて抜書きした文章を下記に書き出します。
かなり名言揃いです。

フローレンスは図書館に通いつめ、日々の現実とはまるで異なる人生を覗くことに夢中になった。特にアンナ・カレーニナや『ある婦人の肖像』のイザベル・アーチャーのような、表向きは華やかだが内実は不幸なヒロインの物語に強く心を惹かれた。が、じきに物語の中の女性から書き手の女性へと興味が移り、シルヴィア・プラスヴァージニア・ウルフの日記を貪り読むようになった。〜45ページ

「いいえ、中間なんてものは存在しない」

中間のものならいくらでも思いつくーーーむしろ世の中全体が中間みたいなものだーーーフローレンスはそう思ったが、口には出さなかった。

「中間というのは、毒にも薬にもならないということよ」とヘレンが言った。フローレンスの考えを見透かしたかのように。〜137ページ

「私はまわりの人間に同情を寄せるのもやっとなの。私たちは日々人類への共感を求められるけど、やれシリアの難民だ、チェチェンの同性愛者だ、ミャンマーイスラム教徒だ、はっきり言ってもうたくさんなのよ。人間の脳は世界じゅうの苦しみを受け入れるようにはできていない。自分の小さなコミュニティを思いやる程度にしかできてないの。わかったらもう、私のなけなしの余力をフクロウなんかのために使わせないで」(略)

「フローレンス、あなたは誤解してる。私は世間一般のコミュニティのことなんてひと言も言ってない。知らないの?自然と共生するコミュニティなんてものは幻想よ。人間が自然を破壊し尽くしたんだから。私のコミュニティを構成するのは私だけ。だからほかの誰にもなんの責任も感じない。ーーー人類、鳥類、なんであれ」〜186ページ

ヘレン、あなたみたいに、こういう考えになれればメンタル削れないよね、哀しいけど。

個人の存在において死ほど大きな出来事はないが、死んでしまった当人にはもはやそれすら関係ない。存在自体がなくなってしまうのだから。死の意味も重大性も、その瞬間にすべて崩壊し消え失せる。残された者だけがその影響を受け止めるのだ。〜296ページ

明日には読み終わるかな?
帯の惹句に「息もつかせぬどんでん返しの連続!」ってあるので心して読みます。