PARANOID ANDROID

140文字以上の主に本についてのつぶやき

『悩んでもがいて、作家になった彼女たち イタリア人が語る日本の近現代文学』イザベラ・ディオニシオ

今この本を読んでいて、もう少しで読み終わるところです。 

〈日本の近代から現代文学を彩った、タフな女の作家たちを検証!〉
〈「繊細さん」「低収入独身女子」「親ガチャ」……現代の女性たちが抱えている問題について、近現代の女性作家たちも同じよ うに悩んでいた!〉

平安時代の女性作家を新たな視点で紹介し、多くの共感を得た『平安女子は、みんな必死で恋してた』(2020)。今度は近現代の女性の作家に迫る一冊。
前著に劣らぬ新解釈とともに、「低収入」「親ガチャ」など、現代のさまざまな問題とリンクするようなキーワードを設定し、女性作家たちの生きざまを分析。
制約の中で生き抜いた女性たちの、強い個性とメッセージを紹介します。
【周囲の厳しい目にも負けず信念を貫き生き抜いた女流作家たち。自らをさらけ出した作品は、今も色褪せることなく心に訴えかける。】

こういった本を、日本人ではなく、イタリアの方が著したということにまず驚き。
日本人よ、どうしたのだ…。
色々な複合的な理由があるとは思うのだけど(大人の事情というやつ?異国の方が書いたからという言い方がよく無いけれど物珍しさとか?)。

「良妻賢母以上モダンガール未満」
↑フェニミストであると断言できないわたしだねw言い得て妙。
これは円地文子の章に出てきた言葉。 
円地文子『女坂』読んでみたい(この本持ってたけど手放してるね😭)。

「家」の中に澱む濃厚なエロス。
源氏物語」の現代語訳を成し遂げた著者による、愛憎のひとつの形。

明治初期、世に時めく地方官吏・白川行友の妻・倫(とも)は、良人(おっと)に妾を探すために上京した。妻妾を同居させ、小間使や長男の嫁にまで手を出す行友に、ひとことも文句を言わずじっと耐える倫。彼女はさらに息子や孫の不行跡の後始末に駈けまわらねばならなかった。 すべてを犠牲にして“家"という倫理に殉じ、真実の“愛"を知ることのなかった女の一生の悲劇と怨念を描く長編。野間文芸賞受賞作。詳細な注解を付す。

有吉佐和子の章に至っては、小説『悪女について』と夢野久作の『何でも無い』(『少女地獄』三部作の一つ目の長編小説)との近似性を語っていましたが、何度も言うけど著者さんイタリア人ですよ!?
有吉佐和子の小説と夢野久作の小説を結びつけて考えられる日本人何人います??
マジすごいですよ…。

怪奇小説の帝王が描き出す、美しい少女の不思議な心理。

可憐な美少女・姫草ユリ子は、接触するすべての人間に好意を抱かせる天才。その秘密、常識離れした虚言癖にあった。自分を偽り、虚構の世界を生き続けた少女が、最後に選んだ道とは……。

あと残っているのは林芙美子森茉莉幸田文についての章ですね。 

(前略)東京は大いに気に入っている。そのなんとも言えない冷たさは妙に心地よくて、原色のネオンに照らされた街角を歩くと、なんとなく落ち着いたりもする。私なんぞ平凡すぎて物の数にも入らないけれど、もしかしたら東京という街は、さまよう魂にぴったりな場所なのかもしれない。 だからこそ、ほっつき歩いて生きた作家、林芙美子はやはり東京を選んだ。〜198ページ

では読書に戻ります。