PARANOID ANDROID

140文字以上の主に本についてのつぶやき

『少女、女、ほか』バーナディン・エヴァリスト

今日からGW前半用にと思い、この分厚い本を読みはじめました。

ブッカー賞受賞作品
西加奈子さん推薦

今日はアマの演劇がナショナル・シアターで上演される初日。黒人として女性として日々受ける差別に立ち向かってきたアマが、50代になってついに栄光をつかんだのだ。記念すべき今宵、家族や友人たちが集う。演劇界を共に生き抜いてきた戦友、母の希望とは異なるがしっかりした自分の意見を持つ娘をはじめ、不遇をかこつ者、努力して社会的成功を手にしたエリートなど、時代も背景も多様な12人のキャラクターが、人生を振り返っていく。子ども時代のレイプ、小さな町での差別、子どもを抱え必死に働いてきたこと、エリートとなった娘との不仲、実の両親を知らないことなど、みな人知れず心に傷を抱えている。大切なのは共にいること。人生、捨てたもんじゃない。笑って泣かせ心揺さぶる真実の物語。英国黒人女性たちが、乗り越えてきた苦難をウィットに富んだ斬新な文体で語り、共感を呼んだ傑作長篇。作家はナイジェリア人の父とイギリス人の母のもとロンドンで生まれ、本書が7作目の小説。
「強くてしなやか、ユーモアがあって、優しくて皮肉屋 そして臆することなく真実を教えてくれる最高の女友達のようなこの小説を、好きにならないわけがない!」西加奈子(作家)

句点(、)はあるけど読点(。)が全然ない独特の文体で、登場人物が多いからなのかまたは世相を反映していたり、重要!と頭のセンサーが作動してページを前に戻って読み返していたりするからなのかわからないけれど、この本50ページ読むのに1時間半かかる…それにしても何故??って感じ。

今3時間100ページ程読んで、印象に残ったところを。

そのためますます多くの者たちが将来に絶望し、ヨーロッパからまもなく切り離される連合王国とともに惑星がまずいことになりかけており、ヨーロッパ自体が反動的な道を猛スピードで転がり落ちてふたたびファシズムを流行らせているところで、あまりに狂っているから、嫌悪感をもよおす永久日焼けを施した億万長者がアメリカ大統領になって知的及び道徳レベル低下の記録を更新、要するに上の世代が何もかも台無しにしてくれたから、あたしの世代はもうほんッとに絶望的なのよ〜53ページ

舞台は現代のイギリス。これは主役?の黒人女性の娘(19歳)から見た視点なのだけど、どこも世界はそうなのか、と、唖然とした。

パパに言ってやんなよ、英国経済はレベルが高い仕事をする移民がいなくちゃ崩壊するって、ママなんか、絶対にこの国出身の労働者じゃなくてポーランド人の配管工とか電気工寄こしてって言ってる〜81ページ

これもヤズ(主役?の黒人女性の1人娘、19歳)のセリフ。
興味深い。
何年か後の日本?

この本はブッカー賞を受賞しており、また2019年(かな?)のバラク・オバマ元大統領のベストブックのうちの1冊なのだけど、オバマ元大統領のベストブックってわたしがかなり興味深くおもしろく感じる本が多いです。



『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら 15冊から読み解く家事労働と資本主義の過去・現在・未来』チョン・アウン

先程この本を読み終わりました

「主婦は家でぐうたら」している?

 

日本よりも家父長制が根強く、日本と同様に共働き世帯が急増する韓国で、
社会から卑下されマイノリティになりつつあるひとりの主婦が、
日本でも翻訳されている話題の書を含む15冊を読み解き、
こんな言葉を生む社会の仕組みの始まりをたどる旅へ──

 

「夫が妻を扶養しているのではなく、妻が、
夫を働きに出られるように扶養しているのだ。」

 

女性、男性、非婚女性、すべての人類のこれからを考えるための教養エッセイ!

今年読んだ本の中で暫定1位。
再読不可避。
初読時(今回)は「なるほど!」と思いながら、でもメモを取らずに読んでしまったので、今度はきちんとメモを取り書き出し、考えをまとめつつ自分の血肉となるよう読まねば。

この本にはわたしが思っていた疑問、モヤモヤに対する答えが書かれていた。
目が開かれ、啓蒙された。
また、邦訳されていない本のなんたる多さよ…。

あとわたしだったら帯に本文から引用する文章にはこれを選ばないな。
誤解されると思う、色々と。

取り急ぎここだけメモしたので長いですが引用します。

資本主義が設定した性別分業によって分断されたのは男女だけではない。女は必ず結婚して子どもを産まなければならず、家事と育児は女にできる最高の仕事だという定言的命令は、それを受け入れた女性とそうでない女性のあいだも引き裂く。お金に換算できることにだけ価値を見出す資本主義的な考え方に閉じ込められている限り、非婚女性は家で家事と育児を受けもつ既婚女性を「依存的でもどかしい生き方をしている」と考え、既婚女性は非婚女性を「わがままで自分の事しか考えていない」とさげすむことになる。体制維持のために社会は単一の女性像ーー結婚して子どもを産んで育てるーーを強調し続け、その過程でその女性像に符合する人とそうでない人が自分の立場を擁護し、結果的に互いに非難し合うようになる。しかし、もう少しだけ深く考えてみれば、少しだけ視野を広げてみれば、女性は自分が立っている場所の地形全体をながめることができる。そして今、つねに自分を省み、たゆまず前進していく女性は、既婚・非婚どちらの側にいようと、自分が立っていない側の価値に気づき、評価する目をもてるようになる。〜215〜216ページ



『化学の授業をはじめます。』ボニー・ガルマス

読んでいる本はこちら

●全米250万部、全世界600万部。2022年、最も売れたデビュー小説! 
●ドラマ『レッスン in ケミストリー』原作! 

著者デビュー作にして、世界600万部の大ヒット小説がついに日本上陸! 

舞台は1960年代アメリカ。 
才能ある化学の研究者エリザベスは、いまだ保守的な男社会の科学界で奮闘するが、無能な上司・同僚からのいやがらせ、セクハラの果てに、研究所から放り出されてしまう。 

無職・未婚のシングルマザーになってしまった彼女がひょんなことからゲットした仕事、それはテレビの料理番組「午後六時に夕食を」で料理を指南する出演者だった。 

「セクシーに、男性の気を引く料理を」というテレビ局の要望を無視して、科学的に料理を説くエリザベス。しかし意外にも、それが視聴者の心をつかんでいく……。 

ブリー・ラーソン(『キャプテン・マーベル』)が自ら制作総指揮、主演したApple TV+のドラマ版『レッスン in ケミストリー』も大ヒットし、全世界の女性(と犬好き)に支持された痛快無比の一冊。 

「料理は立派な科学(サイエンス)だもの。まさに化学(ケミストリー)よ」 
全女性(もちろん全男性も)、そして全犬好きにお薦め、最高のエンパワー小説にしてエンタメ小説です。

たぶん今のところ今年読んだ本の中で2番目におもしろいです。

彼らはエリザベスを管理したがり、さわりたがり、支配したがり、黙らせたがり、矯正したがり、指図したがる。なぜ仲間の人間として、同僚として、友人として、対等な相手として、あるいはただの通りすがりの他人として女性に接することができないのか、エリザベスには理解できなかった。〜325ページ

女性がいつかはぶち当たる、一度は感じたことのある男性に対しての壁?思いだと思う。

以下が著者の1番言いたかったことのひとつなのでは?と思ったので、少し長いけれど、引用。

ハリエットに言わせれば、男は女とほとんど別種の生き物だった。男は甘やかされることを必要とし、すぐに傷つき、自分より知的だったり脳力が高かったりする女性を許せない。「ハリエット、それはおかしいんじゃないかしら」と、エリザベスは異議を唱えた。「男性も女性も、どちらも人間です。人間であるわたしたちはみんな、受けたしつけの副産物であり、欠陥だらけの教育制度の犠牲者であり、それでも自分の行動を選ぶことができる。要するに、女性を男性より劣ったものとして貶め、男性を女性より優れたものとして持ちあげるのは、生物学的な習性ではありません。はじまりはふたつの言葉です。ピンクと青。それが全ての元凶です」〜326ページ

そしてこのことに疑問を持つと同じ女性から示される態度についてもそのあとに書かれている。

「どうしてそうなってしまったんでしょう?」エリザベスは問う。「どうして女性はそういう文化的な固定観念を受け入れるのか?それどころか温存してしまうのか?アマゾンの奥地には、女性が支配する部族があるのを知らないのでしょうか?マーガレット・ミードは絶版になったんでしょうか?」エリザベスがそこで口を閉じたのは、ハリエットが立ち上がり、これ以上ややこしい言葉は聞きたくないと態度で示したからだった。〜327ページ

わたし、最近思うのだけど、こういう本を読んで、例えばそうそう!と膝を打ったり、溜飲を下げたり?するのも個人の自由だからいいと思うのだけど、そうではなくて実際に自分で行動に出さなければ?移さなければって思うようになってる。
そしてそれがどんなに難しいか、ということもわかって、打ちのめされて、現状に甘んじてる。

たぶん、現状に甘んじてる人、かなり多いのでは…。

この本は明日には読み終わるのではないかな。



『50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと』和田靜香

この本を読んでいます。

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』が政治本にして異例のヒットとなったライター和田靜香による、最新政治&フェミニズムエッセイ! 

50代女性、フリーランス、ひとり暮らし。
仕事は? 住まいは? 人生は? この先、なんとかなるんだろうか……?
でも、なんとかならなきゃ困ります。だって、私の老後がかかってんですよっ!

老後を目前に不安にかられた著者は「女性議員ならこの不安を自分ごととして考えてくれるのでは?」と希望を抱き、日本で唯一パリテ(男女同数)議会を20年以上も続けてきた大磯町議会をたずねる。 

取材の中で浮かび上がってきたのは、自分自身が下積み時代に受けた悔しい女性蔑視、世代の異なる師匠との考え方の違い、50代になってからフェミニズムを知った苦しさなど、意外にも"個人的なこと"だった──

取り急ぎ読書ノートより抜粋です。

「個人的なことは政治的なこと」〜24ページ

引用されてるこの言葉、これは誰がどこで言った言葉か出処を調べること。

読みはじめは共感するというか、わたしがしたくてもできないことを著者の方はしていて、「そうなの!だから私現状に甘んじてるの!なんとかしないと!!」って一緒に思えたのだけど、

冬に備えて蓄える蟻になれたら良かったけれど、私は冬が来るのを予想せず暢気に飛び跳ねるキリギリスだった。〜63ページ

蟻とキリギリスのお話は最後どうなるんだっけ?
蟻はキリギリスを助けるんだっけ?助けないんだっけ?要確認。

蟻はキリギリスに「これ食べなよ」と優しく食べ物を分けてくれたらうれしいし(互助)、キリギリスはありがたくそれを受けつつも、役所に行って生活保護の利用を申請すべきだ(公助)。そういう社会が望ましい。苦労して辛酸をなめたほんの一部の人だけしか助けられない、のでは違うと思う。楽しく生きてきた、しかし、今日、家をなくし、食べるものがなくなってしまった、そういう人にも手を差し伸べるのが公助の役割だ。それをみんなが受け入れられる、寛容な社会を政治は作らなくてはいけない。〜63、64ページ

ちょっと都合良すぎないですかね?
と思うと「差別だ!」ということになるのかしら?今は。
でもなんだろう、この違和感。
博愛とも少し違う、脳内お花畑すぎるというか。
違和感を感じてしまうのは、わたしが自己責任論に毒されているからですかね?

都会のひとりは地域の中ではずっとひとりで、街の誰かとつながりにくいって思う。

(中略)

ひとりで暮らすのと孤立することは違うはずだ。〜102ページ

ぐっさり。刺さる。


『十九号室へ』ドリス・レッシング雑感

先日からスキマ時間に読んでいる『病短編小説集』、

この本、病と銘打ってて実はフェニミズム小説集でもあると思うのだけど。
読んでいていたく感銘を受けたドリス・レッシングの『十九号室へ』について。

日々感じるモヤモヤが言語化されてる!と感じたときの驚き。

結婚した女性に必ず訪れる虚無感(周りから見たら絶対にわからない、逆に恵まれていて幸せだと思われるかもしれない)みたいなものが確かな筆致で説得力を持って描かれていて、こういう気持ちは男性には絶対に理解できないし、してもらえないとわたしは経験上思うのだけど、この物語を読んだら夫という名の男性達に頭では理解してもらえそうな気がするの(心では納得してもらえないというか拒否られるだろうけど)。
時に命さえ奪いかねないほどの虚無感、絶望感を結婚生活を機能させ維持させるために妻や母という名の女性達が持つということを。
そして一緒に暮らしてても女性と男性には決して交わることのない大きな隔たりがあるということを。

古今東西、ずっとずーっと人間って変わらないんだな、と思いました。

あと50ページほどで読み終わっちゃうなぁ。よい短編集ですよ。



 

『読書する女たち』ステファニー・スタール その3

ステファニー・スタール『読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか』の中で、 著者が取り上げた、読んでいた本一覧になります。

moyoco.hatenablog.com

moyoco.hatenablog.com

まず始まりは旧約聖書、『創世記』から。

罪を犯して神から追放を受けた人類とその人類に対する神の救いが聖書全体をつらぬく問題であるとすれば、旧約巻頭のこの書こそ、その問題への出発点である。天地の創造、人類のはじまり、楽園追放、ノアの洪水、その子孫の増加、そしてイスラエル民族の祖先たちの罪と罰の記録。次々に壮大な神と人類の物語が展開されてゆく。

『ベルぺトゥアの殉教 ローマ帝国に生きた若き女性の死とその記憶』。

三世紀のカルタゴ。闘技場で野獣刑に処された若きキリスト教徒の女性に焦点を当て、殉教という行為とその背景にある思想の対立を描く。

紀元203年、カルタゴの地で若きローマ貴婦人ペルペトゥアは、仲間とともに逮捕された。彼女は、彼女を深く愛する富裕な家族の中で育ち、既に結婚しており、乳飲み子である息子もいた。父親の嘆願にもかかわらず彼女はキリスト教信仰を宣言し、信仰のために生きることを主張し、ローマ皇帝のために犠牲を捧げることを拒んだ。彼女は裁判にかけられ、闘技場で獣に殺されるという刑を宣告され、牢獄に入れられた。 ここまでのところ、彼女の経験は、他の多くのキリスト教殉教者のそれと似通っている。ペルペトゥアが他の殉教者たちと異なるのは、投獄されていた最後の日々を日記に記したことである。この日記の中で、ペルペトゥアは家族、息子、そして自分のアイデンティティーへの思いを語っている。さらに彼女は、預言的であると信じた、四つの夢を記録した。彼女の思考の、個人的かつ濃密なこの記録の中に、私たちは一人の人間の心の中で起きたさまざまな思想の衝突を見ることができる。 本書は、ペルペトゥアという一人のキリスト教殉教者に焦点を当て、殉教という行為そのものとその背景にある思想の対立を鮮やかに描いている。

メアリ・ウルストンクラフト『女性の権利の擁護』。

女性解放思想の出発点として不滅の地位を占める古典の完訳。18世紀に女性の経済的・精神的自立を主張して、人類の半分を目覚めさせた。

ケイト・ショパン『目覚め』。

「目覚めたほうがいい。一生、幻想にだまされたままでいるよりは、たとえ…」 人妻の姦通と自殺を描き、出版当初酷評されながら、60年代フェミニズム運動の中で再評価されたショパンの問題作。

シャーロット・パーキンス・ギルマン『黄色い壁紙』(下記短編集所収)。

病は時代や社会、文化を映す鏡。結核ハンセン病、梅毒、神経衰弱、不眠、鬱、癌、心臓病、皮膚病など9つの病を主題とする14編。

ヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』。

女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分一人の部屋を持たねばならない――〈女性と小説〉の歴史を熱く静かに紡いだ名随想の新訳。

シモーヌ・ド・ボーヴォワール第二の性』。

神話、文学、生物学、精神分析など、男に支配されてきた女の歴史を紐解きながら、その自由な可能性を提示する画期的名著。

ヘイゼル・ローリー『差し向かい』。
(こちらAmazonで調べましたが検索結果なしでした。ネットで検索してみるも、どうやら邦訳されていないよう。ボーヴォワールの伝記です。)

ベティ・フリーダン『新しい女性の創造』。

つくられた「女らしさ」の幻想を砕き、女性の生き方の原点を求めた女性問題のバイブル。現代の日本で顕著になっている児童虐待、性犯罪、性の商品化、モノへの執着、青少年の人生目標の欠如なども指摘。86年刊に次ぐ改訂版。

シュラミス・ファイアストーン『性の弁証法』。

ケイト・ミレット『性の政治学』。

キャサリン・マッキノン『ポルノグラフィ 「平等権」と「表現の自由の間で』

女性や特定の民族・マイノリティーの平等権を侵害する暴力表現=ポルノグラフィは、表現の自由によって、無制限に守られるべきなのか。アメリカを代表する法律家が鋭く描き出した平等権と表現の自由の相克。

エリカ・ジョング『飛ぶのが怖い』。

エレーヌ・シクスー『メデューサの笑い』。

「女性的エクリチュール」が拓く、新しい人間像とは?クリステヴァ、イリガライと並ぶフランス・フェミニズムの高峰。

フロイト『ドーラ』。

ドーラに何が起こったのか。夜尿、偏頭痛、咳、そして失声、失神。このユダヤ人少女の病は長く重い。原因はわからない、あるいは多すぎる。しかしフロイトは言う、「口を閉ざす者は指先で語り、体中の毛穴からは秘密が漏れ出てくる」と。その分析と治療ははたして成功したのだろうか。「夢とヒステリー」と題された本作は、『ヒステリー研究』と『夢解釈』を書いたフロイトが、精神分析の理論と技法をいっそう成熟させた有名な症例研究である。疾病利得、症状行為、転移といった基礎概念に具体的な裏づけが与えられる。そのロマネスクな文体の魅力に加え、「いままでに書いたなかでもっとも精妙なもの」とフロイトが自賛する作品が新訳で登場。

キャロル・ギリガン『もうひとつの声』。

フェミニズムに画期をもたらし、〈ケアの倫理〉の原点とされる名著の増補版を完訳。女性の道徳発達を低く見積もってきた、主流派心理学の男性中心主義を剔抉、「目の前の苦しみを和らげ、誰ひとり取り残されてはならない」と命じる〈ケアの倫理〉の声を聴き取る。原題 “In a Different Voice: Psychological Theory and Women’s Development”

ケイティー・ロイフ『翌朝 セックスと恐れとフェニミズム』。
(こちらも邦訳されていないようです。)

ジュディス・バトラージェンダー・トラブル フェニミズムとアイデンティティの撹乱』。

権力はいかに言説のかたちをとって 身体・精神・欲望を形成するのか。
女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提をくつがえし、セクシュアリティ研究の方向を決定づけたフェミニズム/クィア理論の最重要書。

リヴァーベンド『バグダッド・バーニング あるイラク女性の占領下日記』。

バグダッド在住のイラク女性、リバーベンド。彼女のブログ「バグダッド・バーニング(バグダッドは燃えている)」には混迷を極める占領下のイラク状況が克明に記されている。犠牲になった人々、破壊されていくイラクに思いを馳せて傷ついた心。米軍の家宅捜索によって味わった屈辱と怒り。亡命イラク人が中心となった暫定政権に対する不信感。誘拐や略奪に脅える日々。治安悪化や社会の混乱のなか、仕事や学業をあきらめざるをえない状況に追い込まれていく女性たち。リバーベンドの綴る文章に、イラクの普通の人々が感じている「失望と消耗」、そして「ある種の諦めをともなった怒りと恐れ」が込められている…。主権移譲された新政権によるイラクの今後に、彼女たちの想いは反映されるのだろうか。

この中で読んだことがあるのは、『創世記』と『目覚め』と『自分ひとりの部屋』だけでした。
フロイトのものはたぶん、学生時代に心理学の授業で読んでます。

なかなかに価格がおかしい本が多いですが、いずれにせよ、いつかは読んでみたいです。


『読書する女たち』ステファニー・スタール その2

前回ブログを書いてからだいぶ日が経ってしまいました。
この夏は体調を崩したりして、もう若くはないことを思い知らされました。

9月に入ってこの本を読むのをゆっくり再開して先程読み終わったところです。

moyoco.hatenablog.com

フェミニストが書いた著作を読み、改めて再読することの本来の価値は、そうすることで、自分の人生と別の女性の人生を突き合わせて比べ、型にはまった予測可能な考え方から想像力を解放し、ほかとは違う私たちの世代によって私たちに割り当てられたさまざまな台本をより深く理解する、貴重な機会が得られることにある。〜338ページ

この本はまさにわたしにそういう機会を与えてくれました。
ページ数が残り少なくなるのが残念で、なんだか寂しくもありました。
この本は今年読んだ本の中でNo.2です。

読書メモより抜書き。

エンパワメント
社会的弱者や被差別者が、自分自身の置かれている差別構造や抑圧されている要因に気づき、その状況を変革していく方法や自信、自己決定力を回復・強化できるように援助すること。またはその理念。「庇護」や「救済」ではなく、本来の権利や人格を保つために力を付与する(エンパワー)という考え方に沿って、教育や支援を行う。フェミニズム運動や反差別運動から始まった。例えば、夫に抑圧されている妻が自助グループを利用し、自己の心理的・経済的自立を図る支援もその1つ。不当な力に対抗する知識や手段、権利意識の習得を支援することで、主体的かつ能動的な権利擁護を目指す新しいアプローチ。〜コトバンクより

リップスティックフェミニスト(219ページ)、なにがいけないの??

作中に取り上げられた本はまた別ページでご紹介したいと思っています。